ダンス
本日の斎藤の仕事は、某政治家主催の園遊会の警護指揮と、主催者の護衛である。西洋人も出席する宴ということで、未だに残る攘夷主義の壮士崩れを警戒してのことらしい。実際、外交政策を進めているこの政治家が暴漢に襲われたのは、一度や二度ではない。今日の園遊会はこの政治家の子息の婚約披露会でもある。20代半ばと思しき青年とまだ10代にしか見えない娘が、次々挨拶にやってくる客人ににこやかに対応しているのが見えた。この場で若い二人の顔を売って、政界でのこの家の地位を揺ぎ無いものにしていくのだろう。逆に、今後のためにこの場で自分たちの顔を売って、この世界の仲間入りをしようとしている者も、当然の如くいる。
あの二人は多分後者だろう、と斎藤は未来の夫婦に挨拶をしている一組の男女に目を遣る。視線の先では、西洋人のように着飾ったと石岡がにこやかに何やら言葉を交わしている。話しているのは専ら石岡で、は人形のようににこにこして立っているだけだが、こうして遠くから見ると若夫婦のように見えないこともない。
「あの二人は―――――」
たちをじっと見ている斎藤に、園遊会の主催者である政治家が話しかけた。
「男の方が私の遠縁に当たるのだがね。九州の県警勤めをしているのだが、君は会ったことがあるかね」
護衛対象からこんな風に私的なことを話しかけられるのは非常に珍しいことなのだが、斎藤がただ事ではないくらいじっと見ているので、知り合いだと思ったのだろう。同じ警察関係者なのだし、そう思っても不自然は無い。
「いえ………」
会ったことがあるどころか、ついさっきも一緒にいたのだが、斎藤は反射的に否定してしまった。何となく、石岡について知っているとは言いたくなかった。
斎藤の反応に、政治家はつまらなそうに鼻を鳴らす。知っていると答えたら、石岡について何か話したかったのかもしれない。
話が切れてしまって、二人はまた無言で辺りを見回す。
何気無く、斎藤はもう一度の方を見た。と、いつの間にやらはレースの手袋を外して、退屈そうに軽く俯いて持っている扇子を弄っている。扇子を広げたり閉じたりする度に、薬指の指輪がその存在を主張しているかのようにきらきらと輝く。
退屈しているの様子に気付かないのか、石岡は楽しそうに談笑を続けている。彼にとっては社交も大事な役目なのかもしれないが、関係無いの身にもなってやればいいのに、と斎藤は苛立たしく思う。愛玩犬のように連れ回されて、が可哀相だ。だって本当は、石岡の横で意味も無く突っ立っているよりも、斎藤と喋って時間潰しをしていた方が楽しいだろうに。
身の置き所が無さそうにしているを見詰めている斎藤に気付いて、政治家は興味深そうに話しかける。
「あのご婦人の方が知り合いかね。さっきからずっと見ているようだが」
「知り合いというか………私の部下です」
本当はそれも内緒にしておくべきだったのかもしれないが、斎藤は何故か正直に答えてしまった。がこの世界に相応しい女ではないことを周りに知らせておけば、石岡とこれ以上親しくなれないという計算が、無意識に働いたのかもしれない。の立場をはっきりさせておけば、きっと周りが二人を引き裂きにかかるだろう。
「私と同じく、密偵を専門にしております。親は漁師だったそうで、本来なら此処にいられる生まれの女ではないはずなのですが………。何故此処にいるのか不思議で、つい見入ってしまいました」
訊かれもしないことまで喋ってしまって、斎藤はすぐに後悔した。いくらあの二人をこれ以上近付けたくないからといって、を貶めるようなことまで言うなんて。
後悔すると同時に、何とか二人を引き離そうとしている自分に腹が立った。が他の男のものになるかも知れないという事実を受け入れられない自分が、どうしようもなく卑しいもののように感じられる。否、実際卑しいだろう。斎藤は既に結婚していて、それでもなお昔の恋人であるにも傍にいて欲しいなんて、図々しいにも程があるというものだ。
斎藤の言葉に、政治家の眉がぴくっと動いた。
「ほう、そういう女か………。こういう席には必ず連れて来ているから、それなりのご婦人だと思っていたのだが………」
そのまま、政治家は何か考え込むように黙り込んでしまった。恐らく斎藤の思惑通りのことを考えているのだろう。
石岡は本日の主役に挨拶を終えたらしく、またを連れて他の招待客と話を始める。相手もに興味を持っているのか頻りに話しかけようとしているようだが、は困ったように曖昧に微笑むだけだ。いくら付き合いとはいえ、ご苦労なことである。
生まれ云々ではなく、は此処に相応しい女ではないと斎藤は改めて思う。こんな風に、愛玩犬か装飾品のように男に連れ回されて、ああやって曖昧に笑っている姿は、見ていて哀れを誘う。自分を抑えて黙って連れの隣に立っていなければならないなんて、にとっては苦痛以外の何ものでもないだろう。
石岡と招待客が話している間、は所在無げに視線を彷徨わせる。と、の目が斎藤を捕らえたらしく、彼女はほっとしたような嬉しそうな微笑を微かに浮べた。こんな慣れない席でやっと知っている顔を見つけて、余程嬉しかったのだろう。そんなの顔を見て、斎藤も口許を微かに綻ばせる。
やはりは、石岡なんかよりも自分のの傍にいるのが一番良いのだ、と斎藤は改めて思う。ただでさえ慣れない格好をさせられて、慣れない席に無理矢理出席させられて、それなのに自分の社交に夢中になってのことに構わない石岡のような男と一緒にいたって、良いことは一つも無いのだ。には他に相応しい男がいると思うし、彼女が望むなら斎藤がそういう男を捜してやっても良いと思う。
「そろそろ、ダンスの時間だな。終わるまで君は隅の方で休憩しておいてくれたまえ。紅茶を用意させよう」
懐中時計を見ながら、政治家が斎藤に言った。護衛に飲み物を用意するなんて非常に珍しいことだが、それだけこの婚約が嬉しかったのかもしれない。
「ありがとうございます」
軽く一礼をすると、斎藤は用意された席に控える。祝いの花の陰の、客人からは見えない場所に用意されていて、これなら心置きなく休憩できそうだ。
椅子に腰を下ろして煙草に火を点けると、メイドが紅茶とビスケットを持ってきた。
客人もメイドも出される食べ物も、何もかもが英国風だ。ほんの一昔前は攘夷攘夷と言っていたくせに、と斎藤はこの国の変わり身の早さに苦笑した。庭園では異人の楽団が音楽を奏で、客人たちがワルツを踊っている。本当に、一昔前どころか、数年前には想像もできなかった光景だ。この変化の速さに対応できなくて、異人排斥を唱える壮士崩れが出てきても不思議は無いのかもしれない。
花の陰からそっと舞踏会の様子を窺うと、も石岡と一緒にくるくるとワルツを踊っている。何度かこういう席に出たことがあると言っていたから、慣れたものである。しかし、これだけ慣れているということは、つまりああやって何度も石岡と踊っているということで、そう思うとそつなく踊るの姿は斎藤には面白くない。しかも、手を握って腰にまで手を回して、昼日中からあんなに密着して破廉恥な。
けれど、密かにムカムカしている斎藤とは反対に、他の人間と話さなくて済むダンスの時間は、も緊張が解れているのか表情が柔らかい。踊りながら石岡が何か話しているのか、時々楽しそうにくすくす笑っているのが、斎藤には何となく腹立たしく感じられた。
とはいえ、こうやって遠目から見ると、悔しいが石岡とは似合いの一対だ。斎藤とのように極端な身長差は無いし、おっとりとした感じの石岡と小柄で童顔のは、雰囲気も似通っている。
曲が変わる度に相手を変えるのが規則のようであるが、石岡とはずっと一緒だ。どちらの希望でそうなっているのか判らないが、何曲も一人の相手としか踊らないというのは、社交という意味でもあまり感心できないだろう。案の定、曲が終わったところで主催者の政治家がどこぞの令嬢を連れて石岡のところにやって来た。石岡はまだと踊りたそうな様子を見せていたが、渋々といった感じで相手を変える。
はじき出された形になってしまって、は少し困ったようにきょろきょろと周りを見回していたが、斎藤の姿を見つけて嬉しそうに駆け寄ってきた。飼い主を見つけた犬のようなの姿に、やはり自分の傍にいるのが彼女にとって一番良いのだと、斎藤も嬉しくなる。
「斎藤さん!」
尻尾があったら、きっと千切れんばかりに振っているだろうと思わせるくらい嬉しそうな顔で、は斎藤の隣の椅子に座る。傍にいるメイドに自分の分の紅茶を頼むと、早速目の前のビスケットをつまんだ。
「朝から何も食べてないからお腹空いちゃって。それに、ぼろを出さないように気ぃ遣うから、もうくたくた」
「付き合いとはいえ、ご苦労なことだな。でもまあ、あの男があいつらの世界に相応しいご令嬢と結婚するまでの我慢だろ?」
関心の無さそうな様子を装いながらも、斎藤は“あいつらの世界”に力を入れて言う。新しい時代は誰もが平等な時代だと言うけれど、それでも明らかに階級は存在している。石岡が属している世界と、斎藤とがいる世界は違うのだ。
「それは………」
そう言いながら、は気まずそうに目を伏せた。もぞもぞと指を動かしている手元には、相変わらず石岡から送られた金剛石の指輪が輝いている。
いちいち存在を主張しているような指輪を忌々しい思いで見ていた斎藤だったが、その位置が今朝見たのと違っていることに気付いた。
「その指輪―――――」
「うん、石岡君がね、此処にしてって………」
驚いた声を上げる斎藤に、は左手を撫でながら恥ずかしそうに頬を染めて答える。金剛石の指輪は、の左手の薬指を飾っていたのだ。
左手の薬指に指輪をする意味を、が知らないはずはない。それは、恥らうような表情を見れば明らかだ。一寸親しい友人だと思っていたのに、そこまで二人の仲は進展していたのかと、斎藤は愕然としてしまった。
衝撃で言葉も出ない斎藤の様子に気付かないのか、は指輪に視線を落としたまま恥ずかしそうに言葉を続ける。
「指輪を買ってもらった時に、結婚してって言われたの。だから、こういう席にはちゃんと顔を出して、場馴れしないと駄目なんだって。これからずっと、こんな席には出なきゃいけないから………」
「お前、それは………そんな米粒より小さい石の指輪を貰って結婚を決めたのか? 随分と安く見積もられたもんだな」
金剛石の指輪ごときでが結婚を決めるような頭の軽い女ではないことは、斎藤が一番よく解っている。きっとそれまでに、二人の間にそれなりの交流があったのだろう。指輪のせいにしたいのは、と石岡との間にそんなことがあったかもしれないと認めたくないからだ。
斎藤の言葉に、はムッとしたように視線を上げた。
「米粒より小さいって………。正式に決まったらもっと良い指輪買ってくれるって言ったもん。第一、指輪が欲しくて石岡君と結婚するわけじゃないわ。石岡君は優しいし良い人だし―――――」
「あの男は、俺たちと違う世界の人間なんだぞ。お前たちがいくらその気になったって、周りが反対するに決まってる。お前が苦労するのは目に見えてるだろうが」
現に、斎藤が護衛している政治家は、の存在を快く思っていない。結婚というのは、家と家との結びつきなのだ。のような“下賎な”生まれの女と結婚したところで石岡の家には何の利益ももたらさないだろうし、何より彼らの世界は“下賎な”女を徹底的に排除しようとするはずだ。
がどんなに美しくても気性が良くても、生まれが悪くて既に若くないということだけで、きっとこの結婚は成就しない。のためにも、この結婚話は絶対に此処でぶち壊しにしておかないといけないのだ。単なる嫉妬ではなく、これは上司としての義務だと、斎藤は自分に言い聞かせる。
が、はみるみる悲しそうな顔になって、その目には涙さえ浮べている。
「そんなことくらい解ってるよ。でも私は………私だって一緒に生きていく人が欲しいよ。斎藤さんだって、だから結婚したんでしょ? 時尾さんだってお嬢様だったけど、斎藤さんと結婚したじゃない。どうして斎藤さんは良くて、私は駄目なの?」
「それは………」
今にも泣き出しそうなの顔に、斎藤は続く言葉が見付からない。子供のような顔をしていても昔から気丈な女で、昔からどんな時も涙一つ見せなかったのに、石岡との仲を反対されただけで泣きそうになるというのが、何よりも斎藤には衝撃的だった。
生まれがどうとか、住む世界が違うというのは、ただの言い訳だ。本当は、が石岡と結婚すれば斎藤から完全に離れてしまうのが寂しいだけだ。自分には家族がいるくせに、それでもを独り身のまま手元においておきたいなんて図々しいにも程があるが、それが紛れもない斎藤の正直な気持ちだ。勿論、そんなことはには言えないが。
にはの人生があって、それは斎藤のものではないことは解っている。幕末の京都で別れたあの日から二人の人生は全くの別物になって、相手がどんな未来を選ぼうと口を出すことは出来ないものになってしまったのだ。たとえが斎藤から離れていくことを選んだとしても、だ。頭ではそれを理解していても、感情が拒否している。を奪おうとする石岡に対してよりも、そんな自分に斎藤は腹が立つ。
そのまま無言で苛立たしげに煙草に火を点ける斎藤を、は涙を溜めた大きな目で睨みつける。責めるようなその目を見ることが出来なくて、斎藤はまだダンスが続いている庭園に目を向けた。視線の先では、石岡がどこぞの令嬢とダンスを踊りながら、を捜すように視線を彷徨わせている。自分が相手を出来ない間、どうやって時間を潰しているのか気になって仕方がない様子だ。
音楽が終わって、漸く解放されたと言いたげに令嬢から離れると、石岡がこちらに向かってきた。それと入れ替わるようには立ち上がると、そそくさとその場を離れようとする。
「悪かったな、なかなか解放してもらえなくて。
どうした? 何かあったのか?」
立ち去ろうとするの腕を掴んで、石岡が怪訝そうに尋ねる。その手を乱暴に振り払って、
「何でもない。コルセットが苦しくて気分が悪くなったの。厠に行ってくる」
「そうか。一寸締めすぎたみたいだもんな。あんまり辛いようだったら、部屋を借りようか?」
「いい。少し緩めたら楽になると思うから」
優しく労わる石岡に、俯いたままぶっきらぼうに応えると、は早足でその場を離れた。
去っていくの後ろ姿を心配そうに見送っていた石岡だったが、その姿が見えなくなると、今度は斎藤を下目遣いに睨みつけた。
「あんた、何を言ったんだ? 泣いてるみたいだったぞ?」
いつもの慇懃な口調をかなぐり捨てて、石岡は低い声で尋ねる。それに対し、斎藤も煙草を揉み消しながらぶっきらぼうに、
「あんたこそ、に何を約束してるんだ? あいつ、本気であんたと結婚できると思い込んでるぞ。出来もしないことを約束して、あいつを弄ぶのはやめて欲しいもんだな」
「とは結婚するさ。俺はあんたじゃない」
自信満々にそう言うと、石岡は嘲笑うように鼻先で笑った。何もかも知った上と思われるその言葉に、斎藤は怒りと屈辱で顔を朱に染める。
何があっても顔色一つ変えない斎藤のその反応が可笑しかったのか、石岡は喉の奥を小さく鳴らした。その笑い方がいかにも嘲笑っているかのようで、斎藤は石岡に掴みかかりたい衝動を必死に堪える。
石岡は勝者の余裕で、いつもの慇懃な微笑を浮べてが座っていた椅子に座った。そして、が口を付けないまま残したティーカップを弄びながら、
「まあ確かに、結婚までの道は平坦じゃないでしょうね。うちの家族がの過去を知ったら、下手をすれば勘当されるかもしれない。けれど僕は、家を捨ててでもを取りますよ。もう若くもないし、跳ねっ返りで扱いづらい女ですけど、でも大人しいだけのご令嬢よりは面白い女ですからね。あれでまあ、可愛いところもありますし」
「住む世界が違う人間が一緒になったところで、合うはずがない。二人とも不幸になるだけだ」
「一生独り身のままで貴方の傍に縛り付けておくのが幸せとは思えませんけど? それに住む世界が違うといっても、一昔前までは私だって長屋住まいの下級武士だったんですからね。御一新のドサクサで今の地位を得ただけで、生まれはとそう変わらない」
「…………………」
そこまで言われると反論の言葉が無くて、斎藤は不本意ながら沈黙してしまった。これ以上何を言っても、きっと石岡には見苦しい嫉妬にしか聞こえないだろう。
確かに石岡の言う通り、斎藤の我が儘でを一生自分の傍に置いておくのも、決して幸せな人生ではないだろう。妻子を捨てて再婚するわけでもなく、妾として囲うわけでもなく、何の関係も持たない中途半端な状態で置いておかれる方が、身分違いの結婚よりもにとっては不幸な状態だろう。のためを考えるなら、ここまで想ってくれる石岡に託すのが一番良いのかもしれない。斎藤だって、いつまでもの傍にはいられないのだ。
「それに、貴方もいつまでもの傍にいられるわけでもないでしょう。聞きましたよ、今度の人事異動」
斎藤の考えを読んだかのような石岡の言葉に、斎藤はドキッとした。
驚きで顔を強張らせている斎藤に、石岡は口許を吊り上げて言葉を続ける。
「まだ内示ですけど、北海道に異動だそうじゃないですか。露西亜の動きが不穏なことですし、有能な密偵が必要ということでしょうが………そこにまでを連れて行くわけにはいかないでしょう? 貴方にとってはただの部下なんですから」
「よくご存知で」
九州にいるくせに、よくもまあ調べたものである。石岡の物言いに腹を立てるよりも先に、その労力に思わず苦笑してしまった。
「言っておきますが、にはまだ伝えてません。“信頼できる上司”がいなくなる寂しさに付け込むほど、私も卑怯じゃありませんからね。このことは、貴方から伝えてください」
「お気遣いをどうも」
北海道への異動はもう拒否できないところまで話が進んでいる。石岡の言う通り、をそこへ連れて行くことは不可能だし、そう思えば彼女とのこの中途半端な関係も今が潮時なのかもしれない。石岡は悪い男ではないようだし、の年齢にしては良縁だ。何より、この結婚を自身が望んでいるのだから、文句の付けようが無いではないか。
そうは思っても胸の中にはもやもやする思いがあって、それを打ち消すように斎藤は煙草に火を点けると思いっきり煙を吸い込む。胸の中が軋むような音がしたような気がしたが、それはきっと煙を一気に吸い込みすぎたせいだろうと、自分に言い聞かせた。
嫉妬で心が千々に乱れる斎藤というのを書いてみたかったのですが、何だか女々しいだけの鬱陶しい男になってますね。あれ………?
っていうか、ドリームなのに結婚相手が石岡君っていうのはどうよ? って話なんだが。でも、一方的な愛情を主人公さんに向けている斎藤というドリームは珍しいのではないかと自負しております。珍しけりゃ良いってもんでもないんですが(笑)。
不倫をするには道徳心が邪魔をして、でも誰にも渡したくない女を別の男に引き渡すというのは、男心としてはどんなもんなんですかね。これで道徳心と煩悩の狭間で悶々としなくて済むと、心のどこかでほっとしたりするんでしょうか。この斎藤は一寸未練タラタラのようですが。
次回は、北海道に旅立つ斎藤と主人公さんの“さよならは言わない”の予定です。お題通り、まだこのシリーズは続きますよ。残りのお題はすべてこのシリーズで消化するつもりです。