運命が引き寄せる<前編>

 公武合体の号令によって、孝明天皇の妹宮である和宮が14代将軍・徳川家茂に降嫁することとなった。泣いて嫌がったという和宮に、孝明天皇とその側近たちが因果を含めた上での、漸く決まった縁談だ。
 それでも東下の旅の途中に何度も、やれ宮様の具合が悪いだの、土御門の占いによると日が悪いだの、時間稼ぎの抵抗としか思えない理由で旅を中断し、和宮一行が江戸城大奥に入ったのは予定をはるかに過ぎた12月11日だった。婚儀は年明け2月に行われるという。
 今、大奥の中は、関東方と京方の女たちの争いで大変なことになっているという。京方は全てにおいて京風のやり方を通そうとするし、関東方は大奥のやり方に従えと、事あるごとに衝突しているらしいのだ。まあ実権はともかくとして将軍家は臣下になるのだから、臣下に従う筋は無いと京方は思っているのだろうし、関東方は女は嫁した家の家風に従うものだと思っているのだろう。どこまでいっても平行線だ。
 結局、大奥の中で話が収まらず、表、つまり男の世界まで巻き込んで、和宮のことは“御台様”と呼ばずに御成婚後も“宮様”と呼ぶことと、宮様とその周辺は京風の生活様式で通すということで話をまとめられた。ただでさえ降嫁を嫌がっていた和宮が、これが元でまた京都へ帰ると騒ぎ出したら大変だ。
 その話を聞いて、女の世界は大変だと蒼紫は呆れ果ててしまった。くだらないことでそこまで揉めなくでも良いだろうと思ったが、老中たちや御庭番衆の御頭まで騒いでいたところを見ると、くだらない争いに見えて意外と重大な争いだったのかもしれない。子供の蒼紫にはよく解らないけれど。
 そして更に解らないことに、和宮周辺を探れという命令が蒼紫に下った。和宮周辺に間諜が潜んでいるということなのだろうか。それにしたって、男子禁制の大奥に、いくらまだ少年とはいえ男の蒼紫が入るというのはおかしい。翁は分からなければ大丈夫と言っていたけれど、そういう問題なのだろうか。
 そんなことを考えながら青々と茂る大木の葉の陰に潜んでいると、和宮がいると思われる部屋の障子が開いて、京風の装いの少女が辺りを窺いながらそっと出てきた。蒼紫と同じくらいの年恰好の少女で、もしかしたら和宮の遊び相手として連れて来られたものかもしれない。和宮も確か、蒼紫とそう変わらない歳であるはずだ。
 考えてみれば、そんな少女が故郷から遠く離れた江戸に降嫁しなければならなかったのだから、そりゃあ泣いて嫌がるはずである。しかも和宮には決められた許婚がいたのに、それを幕府が横槍を入れて無理やりまとめた縁談だったと聞くから、いくら国のためとはいえ、可哀想な話だ。まあ、蒼紫にはどうでも良いことだけど。
 と、少女がじっと蒼紫がいる木を見詰めていることに気付いた。まさか勘付かれたのか? 否、気配は完璧に消しているし、素人に気取られるはずは無い。
 蒼紫も息を潜めて少女を観察していると、彼女の方から口を開いた。
「あんた、誰?」
 少し訛りのある、けれど上品な声だ。見かけの割には大人びた声で、これが宮中風なのだろうか。
 誰と訊かれて、素直に出て行くわけにはいかない。気のせいと思わせるためにも、このまま気配を消してやり過ごさなくては。
 ところが少女は確信に満ちた声で更に呼びかける。
「出て来んと、男の人がいてはるて大声で言うよ? 怒らへんから、出ておいで」
 その声はからかうような感じで、素直に出てくれば騒ぎはしなさそうな様子だ。その代わり、出てこなければ即座に大声で騒ぎ立てるのは間違いない。
 今此処で騒ぎ立てられたら、非常に困る。御庭番衆が和宮を見張っているということがバレたら、京方は更に態度を硬化させるだろうし、関東方だって男が大奥に入ったとなったら黙ってはいないだろう。
 どうしようかと迷ったが、考えている暇は無い。とりあえず姿を現してうまい具合に言いくるめるか、どうしても駄目だったら“始末”するか。蒼紫は意を決して木から飛び降りた。
「なんや、まだ子供やないの」
 自分だって子供のくせに、少女は蒼紫を見て驚いたように呟いた。
「自分だって子供じゃないか」
 馬鹿にされたような気がして、蒼紫はムッとして言い返す。蒼紫は形は子供だが、次期御頭と目されている隠密なのだ。宮様の遊び相手とは違う。
 が、少女は少しも悪いとは思っていない様子でくすくすと笑って、
「うちはこれから大人以上に大事な仕事をするもん。子供じゃないわ」
「俺だって江戸城をお守りするという大事な仕事をしている」
「じゃあ此処にいるのは、宮さんを守るため? それとも、何か探ってるの?」
 それまで楽しそうに微笑んでいた少女の顔が、急に警戒を帯びた。彼女も京方と関東方の争いを毎日見ているだろうから、此処では自分たちは敵だと目されているかもしれないと思っているのだろう。
「違う! 俺は宮様をお守りするように言われたんだ。大奥方と宮様方の争いが絶えないからって」
 咄嗟に答えたが、やはり後ろめたさがあるためか早口になってしまった。言ってしまってから後悔したが、もう遅い。
 怪しまれたかと少女の顔を観察すると意外にもそれを信じたらしい。表情から警戒の色が消え、再び人懐っこい笑顔が戻った。蒼紫の早口の答弁を、必死で疑いを解こうとしてそうなったと解釈したのだろう。しっかりしているように見せても、まだ子供である。
 素直な気性というか、単純な子で良かったと蒼紫が内心ほっとしていると、少女はぴょんと庭に下りて蒼紫に近付いてきた。そして顔を近付けると、声を潜めて、
「な、うちの友達になってくれへん?」
 意外な申し出に、蒼紫は怪訝な顔をした。友達になってくれと頼まれたのは初めてだ。
 何と言って言いか分からずに困惑している蒼紫に少女は言葉を続ける。
「友達が無理なら味方でもええ。うち、此処では一人ぼっちやもん。何かしてくれとか言わへん。うちの話を聞いてくれるだけでええよ。聞いてくれたら、こっちでは食べられへんお菓子だってあげる。だから―――――」
 縋るような少女の目には涙さえ浮かんできて、蒼紫は思わず頷いてしまった。本当は大奥の女と接触したら、いくら子供でも厳しく処罰されるのだが、こんな縋るような目をされたのでは振り払うことの方が悪いことのような気がした。それに、見付かるはずの無い蒼紫がこんな少女に容易く見付けられたのも、何かの縁なのかもしれない。
 それに―――――御庭番衆としてのもう一人の蒼紫が囁く。この少女をうまく使えば、宮の情報は簡単に手にはいるじゃないか。向こうから飛び込んできたものを、利用しない手はない。
「わかった。人がいない時に天井から忍んでくる」
 胸の中に渦巻く様々な思惑を押し隠し、蒼紫は無表情の隠密の顔を作って答えた。
「ほんま? 嬉しい!」
 今にも泣きそうな顔から、一気に花が綻ぶような笑顔を見せた。この少女は蒼紫と正反対で、感情を抑えるということが全く無いらしい。
 京の女は無表情で何を考えているのか判らなくて怖ろしいと大奥付きの隠密が漏らしていたが、そんなこと全然無いじゃないかと蒼紫は思う。無表情の者もいるかもしれないが、こんな風に可愛らしく笑う者もいるのだ。それとももしかしたら、目の前の少女も大人になったら無表情になるのだろうか。
「ほならな、就寝時間の後にあの部屋に来て。夜だけは能登も少進もおらへんから」
 能登と少進というのは、一緒に仕事をしている女官の名前だろうか。侍女のくせに個室を与えられているとは、もしかしてこの少女はやんごとない筋の娘なのだろうか。それにしては気品が足りないような気がするが。
 訝る蒼紫の表情に気付かないのか、少女は嬉しそうに跳ねるような足取りで濡れ縁に戻った。その動きはやんごとない筋の娘というよりは野兎のようだ。自分は一人ぼっちだと言っていたが、何を考えているのか判らない無表情の女たちの群れの中では、野兎は浮いてしまっているのかもしれない。
 野兎は障子を開けて、思い出したように振り返った。
「うち、っていうの。あんたは?」
「蒼紫」
 名前は教えないつもりだったのに、つい答えてしまった。どうもと喋っていると、蒼紫はいつもの調子を崩されがちだ。あの京訛りの喋り方のせいだろうか。
 けれど、はそんな蒼紫の気持ちには気付いていないのか、屈託のない笑みを見せて念を押すようにいった。
「絶対来てな。待ってるから」





 約束通り、その日の夜から蒼紫はの部屋に忍んで行くようになった。の部屋は侍女の部屋の割には豪華な調度品に囲まれていて、皇妹の侍女になると大奥の侍女とは違うのだろうなあと、蒼紫は見るもの全てに感心した。菓子を載せる高台一つにしても京と江戸のものは違う。
 も約束を守って、蒼紫が忍んで来る夜は京都の菓子を用意してくれている。季節の花や鳥を模った綺麗な色の菓子は、確かに彼女の言う通り、江戸では食べられないものばかりだ。蒼紫はあまり菓子は食べないが、その美しい菓子は物珍しさも手伝って毎度の楽しみになっていた。
 けれど肝心のの話から得られるものといえば、侍女に対する不満や遠い京を懐かしむ話ばかりで、和宮に関する話は全く出てこない。重要は話は出てこなくても、普通なら和宮は今日は何をしたとか話の種に出てきそうなものなのだが、それすらも出てこないのだ。まるで、此処には和宮など存在しないかのように。蒼紫がさり気なく水を向けてもは言葉を濁すだけだし、いくら緘口令が敷かれているにしてもおかしい。
 得るものが無いならもう通うのは止めようと蒼紫はいつも思うのだが、別れ際に「今度はいつ来るの?」と無邪気に問われるとつい次の約束をしてしまう。約束をしてもすっぽかせば良いものを、そうするとが一晩中泣いて過ごすのではないかと思ってそれもできない。にとって、何でも話せる“友達”は蒼紫だけなのだ。
 そうやってずるずると人目を忍んでのところへ通っているうちに年が明け、一月も終わろうとしていた。その頃になるとも本格的に京都が恋しくなってきたらしい。次第に口数も少なくなって元気が無くなっていくのが見て取れるようになった。
 そういうを見ていると可哀想に思うし、何とかして慰めてやりたいと蒼紫も思うが、どうしていいのやら全く分からない。気分転換に城下に連れ出してやりたいけれど、それは許されないことだし、気を紛らわせるのに絵草子か玩具をあげたいけれど、見慣れないものがあるのを他の侍女に見咎められて、蒼紫が此処に忍んできているのを勘付かれたらもっとまずい。が元気が無いと蒼紫も何だか悲しくなってきて、最近では忍んで行っても殆ど話をせずに時間を過ごすことが増えた。
 そして二月のある日、は突然、何やら決心したように悲愴な顔をして口を開いた。
「あのな、一つ、約束してくれへん?」
「約束?」
 最初の約束通り、これまで蒼紫に何も求めてこなかったの初めての頼みに、蒼紫は少し驚いたように目を瞠った。
 は正座したまますっとにじり寄ると、蒼紫の手を取った。
「もう明日から会えんくなるから、これが最後やから、一つだけ私のお願いを聞いて」
「会えなくなるって………」
 突然の別れの言葉に、蒼紫はそのまま絶句してしまった。
 根拠は無いけれど、このままずっととはこうやって話が出来ると思っていた。大奥生活の鬱憤や京都を恋しがる話を聞く代わりに京菓子を貰う日々が続くと思っていた。もうあの綺麗な菓子が食べられなくなるのかと思うと、蒼紫は少し悲しくなる。
 否、悲しくなるのは、本当は京菓子を食べられなくなるからじゃない。そんなものよりも、どうでもいいことを楽しそうに喋るを見ることが出来なくなることが、悲しかった。心の底から楽しそうに笑う姿も、訛りのある柔らかな声も今日で最後かと思うと、凄く悲しい。出会いも別れも蒼紫にとっては心を動かされるものではなかったはずなのに、との別れだけは言葉も続かないほど衝撃的だった。
 愕然とした表情で固まっている蒼紫を見て、は悲しそうに目を伏せた。
「うちな、多分死ぬまで大奥から出られへん。でも、此処の人はみんな嫌いや。みんな、うちの敵やもん。だからな―――――」
 は一旦言葉を切ると、蒼紫の手を握る手に力を込めた。そして顔を上げて、蒼紫の目を真っ直ぐに見る。
「いつか、うちを此処から連れ出して。何処でもええから、此処やない何処かへ連れて行って」
「それは………」
 それは将軍に対する裏切り行為だ。大奥の女はたとえお末の女であれ、勝手に外に連れ出すことは許されない。確かに結婚などでお宿下がりを許される例はあるけれど、個室を与えられるほどの者となると、死ぬまで大奥から出ることは許されないだろう。
 他の約束だったら何とかなるかもしれないが、こればかりは蒼紫でも無理だ。御所での生活しか知らぬ娘を、どうやって外に連れ出して外の世界で生かすことができるというのか。籠の中の文鳥が外の世界で生きられないように、も大奥の外ではきっと生きられない。
 けれどの目は必死で、此処に閉じ込められたままでも死んでしまいそうな目をしている。どちらの世界でも生きていけないのなら、が望むように外の世界に連れ出してやった方が幸せに決まっている。それに、蒼紫の手で外に連れ出したら、きっといつでも一緒にいられる。
 二人でこの江戸城から逃げ出すことを想像すると、蒼紫の胸にこれまで味わったことのない甘美な興奮が生まれた。を守って生きていくというのは、将軍を守ることよりもずっと素晴らしいことのように思えてくる。
 蒼紫は自分の手に重ねられたの手を強く握った。
「わかった。いつかきっと、此処から連れ出してやる。二人でどこか遠くへ行こう。何があっても俺が守るから」
「うん。待ってるから。うち、いつまでも待ってるから。きっと来てな」
 今にも零れそうなほど目に涙を溜めているが、それでも笑顔を見せては何度も念を押す。
 そういえば、が笑顔を見せるのは久し振りだ。最近はずっと沈んだ顔をしていたから、こんな風に笑ってもらえると蒼紫も嬉しい。この嬉しい気持ちをどうにかに伝えたくて、でもどうして良いのか分からなくて、蒼紫は思わずの身体を抱き締めてしまった。
「ひゃっ………?!」
 何が起こったのか解らないように目を白黒させて、は悲鳴を上げた。これまで家族でもない男に抱き締められたことが無いだろうから当然だ。
 驚いて固まってしまったのか、それとも蒼紫を受け入れたのか、は抵抗する様子も見せずにじっとしている。小さくて柔らかくて、腕の中で身じろぎもしないその様は本当の野兎みたいだと、蒼紫はを抱き締めたまま小さく口許を綻ばせた。
 と、の悲鳴を聞きつけたのか、几帳の向こうで襖が開く音がした。その音にはっとして、蒼紫は慌ててから離れると、衝立の陰に隠れた。
「どないおしやした?」
 几帳の向こうから、中年の女らしい声がした。その声は身分の高い者に対するもののようで、やはりは高貴な身分の者なのだろうかと蒼紫は考える。そういえばは、自分の身の上についてもこれまで全く語っていなかった。
 は慌てたような、けれど蒼紫が聞いたことの無い凛とした声で答える。
「何でもない。夢を見ただけや」
「お話し声が聞こえたようでしたけど?」
「寝言や。何もあらへん」
「はあ……。それならよろしゅうおすけど………」
 納得できない様子ではあったが、きっぱりと言い切るの言葉に、女はそれ以上は追求せずに言葉を収めた。どうやら女は、のお付の者らしい。蒼紫はのことを侍女だと思い込んでいたが、もしかして見立て違いだったのだろうか。
 考えてみれば、侍女の身分で個室というのもおかしいし、調度品だって侍女のものとは思えないほど豪華だ。それに、蒼紫に毎日のようにくれた京菓子。宮からのお下がりの品にしても、一介の侍女が他人に毎日あげられるほど下賜されるのだろうか。
 衝立の裏で考える蒼紫の耳に、信じられない言葉が飛び込んできた。
「それでは宮さん、おしずまり遊ばされませ。御機嫌よう」
<“宮さん”?!>
 その言葉に、思わず蒼紫は表に出て女に掴みかかりたい衝動に駆られた。“宮さん”というのは大奥内では和宮ただ一人を指す敬称であるが、女は一体誰に向かってそう呼びかけているのか。この部屋にいるのは、蒼紫とだけだというのに。
 まさか―――――怖ろしい考えに到って、蒼紫はそれを振り払うように激しく頭を振った。いくら何でもそれはありえないだろう。あるはずが無いと自分に言い聞かせながら。
 女が下がったのを確かめると、蒼紫は飛び出したいのを必死に抑えて衝立の陰からそっと出てきた。そして強張った顔と声でに問う。
「“宮さん”っていうのは、お前のことなのか? お前が和宮だったのか? “”って名前は嘘だったのか? 俺を騙してたのか?」
 矢継ぎ早に問われて、は驚いた顔で蒼紫を見上げたが、どうして良いのか分からないようにしくしくと泣き出した。両手の甲で子供のように涙を拭うに、蒼紫は追求を続ける。
「泣いていたら分からないだろう。どういうことなんだ?」
「………うち……宮さんやない……」
「でも“宮さん”と呼ばれてたじゃないか」
「でも、宮さんやないもん………」
 しゃくりあげながら、は頑強に言い張る。その声には嘘は無いようだ。ということは―――――
 想像した中で最も悪いことが、どうやら真実らしい。最も悪いことで、尤もありえないことのはずなのだが、それしか考えられない。
 蒼紫の身体から、血の気が引いていく。これが他の者に漏れたら、公武合体どころかこの国が転覆するかもしれない。京都はこれで江戸を騙しおおせると思っていたのだろうか。
 怖ろしいけれど、それでも確認せずにはいられない。それが蒼紫の仕事なのだから。
「お前……もしかして、和宮の替え玉なのか?」
 どうか首を振ってくれ、と蒼紫は心の底から願った。騙されるのは、自分一人だけで十分だ。“”という名前の方が嘘だと言ってくれ、と祈るような気持ちで泣きじゃくるを見下ろす。が―――――
 はこっくりと小さく頷いた。
 その瞬間、蒼紫は足許から何かが崩れる様な感覚に襲われて、そのまま畳にへたり込んでしまったのだった。
<なかがき>
 Web拍手でいただいた“主人公はお姫様で、それを守る蒼紫”ドリームです。きっと送られた方は明治の世でというつもりだったと思いますが、すみません。江戸時代でやってしまいました。
 一本の話にまとめるつもりだったのですが、どうも話が纏まらず、前後編か前中後編になります。できるだけ前後編でまとめたいのですが………。お題は短編のみのはずだったんですけどねぇ(苦笑)。
 さて、ここで自分突っ込み。徳川家茂と和宮の婚儀は文久二年の2月に行われているので、この話の時点では本当は蒼紫は10歳にもなっていないと思われます。史実の年表は無視してください。あと、いんちき関西弁はスルーしてください。関西系の友人の喋りと『和宮様御留』の台詞を参考にはしているのですが、ほら私、九州人なんで。
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