取敢えず、現状を誰かに見られたならば俺は死ねるかも知れん。
もしも天国・・・いや、地獄から師匠が見ていたら、何を言われるかわからんな。
「聞いてるんですかぁ!?先生っ!!」
「あぁ・・・聞いている」
「返事は『あぁ』じゃなくて『はい』でしょぉ!?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい・・・・」
酒瓶を抱え、胡座をかいて俺の指定席にどっかりと腰をかけるこの女。
俺の女兼弟子の 。
酒を飲まないと聞いて、面白半分で飲ませたのはいいが・・・。
猪口2杯半でこの酔い方はおかしいだろう。
もうちょっとしっとりと酔って欲しかったものだ。
そうすりゃぁ、酔った勢いであんな事とかこんな事とか・・・・・いや、今はそれ所じゃねぇ。
今、俺が座っているのはいつもの席の正面、板の上。
座布団もない場所で正座させられている。
最初は胡座をかいていたのだが「そんな格好ありますか!」と叱られた。
酔っ払いは手に負えんと言うが、それを最初に言った奴、俺もその意見に賛成しよう。
大体この俺に正座させて説教なんて・・・・お前と師匠くらいだ、出来るのは。
畜生、足が痺れて来やがった。
「大体ですねぇ・・・先生はぁ、ちょぉっと自信家過ぎるんですよ」
「わかった、わかったから取敢えず、お前もう飲むな」
「飲まずにいれますか!!」
酒瓶を抱えて口をつけて飲んでいる。
どっちが行儀悪いのやら・・・。
お前、女だろ、胡座かいて座ると、見えるぞ。
「そもそも、先生私の名前知ってますか?
いっつもいっつも『おい』『お前』『てめぇ』で呼んでっ!!!
私の名前は、父の名前は龍生、母が麻祢で兄が一志と仁ですよ!!」
「兄が2人居るのか」
「先生人の話聞いてましたぁ!?」
「兄貴が2人だと言う事は聞いてねぇ」
「私の名前の話をしてるんですよ!
、、、さぁ言って御覧なさい!!」
誰だよ、こいつをこんなになるまで酔わせたのは。
いや、俺だが。
もうちょっとまともな酔い方してくれ、本当に。
「・・・・・・・・・・・・・・・清十郎」
「あ!?」
「清十郎・・・」
酔っている責でとろんとした目をした。
誘っているのか、いや、この状態で押し倒したら何を言われるかわからん。
膝で歩いて近寄ってくるを見て、正座を崩して胡座をかくと、その上に乗っかる。
痺れた足は既に感覚なんかない。
「ねぇ・・・・清十郎・・・・お願い」
「なんだ・・?欲しいのか?」
「名前、呼んで下さいよ」
「そっちか・・・・・・・・・・・・、これでいいだろ」
内心とてもがっかりしたが、いつもの仏頂面で名前を呼んでやると、満足したように微笑んで。
「く〜・・・・」
「寝やがった」
はぁ、溜息を吐いてから、羽織っていたマントの中に彼女を引き入れてから、が一緒に引きずって来た酒瓶の残りを飲み干した。
2度とコイツに酒を勧める事はないだろう。
出来れば本当、残りの人生2度と口にはしないで欲しい物だ。
相互リンク記念に『The・堕落』の草薙さんから戴いた師匠ドリームです。「主人公さんの説教を、神妙に正座して聴く比古師匠」とお願いしたところ、こんな可愛い師匠と主人公さんがやって来てくれました。
いつもは俺様な師匠が、大きな身体を小さくしてお説教を聴くなんて、ヘタレで萌えですね(笑)。主人公さんの説教の理由も、凄く可愛いし。
実はこの二人はシリーズものです。本編は『The・堕落』さんの方にあるので、併せて読めばより一層楽しんでいただけるかと。
最後になりましたが、草薙さん、素敵ドリームをありがとうございました!